2025-2026年度 国際ロータリー会長メッセージ

2025-2026年度 国際ロータリー
会長 フランチェスコ・アレッツォ

テーマ 「よいことのために手を取りあおう」

会長イニシアチブ

敬愛なるガバナーとロータリーリーダーである皆さま、おはようございます。

昨年はここに、2024-25年度ガバナーにお集まりいただきました。その際、私は国際ロータリーの会長ノミニーとして、会員増強を私たちの組織の最優先事項であり、最も価値ある資産であり、最大の課題であると強調しました。

そして今日、会長エレクトとして皆さんの前に立っている今、ロータリーの未来を確かなものにするには、組織全体で会員増強に力を注ぐことが不可欠であると、これまで以上に確信しています。

ロータリーの最大の財産は、その歴史でも、プロジェクトでも、比類のない世界的広がりでもありません。それは会員です。会員は、地球上で最も有能なボランティアのチームです。私は、アトランタ国際大会で、ポリオ根絶のパートナー団体を代表する人物が、ロータリー会員の並外れた献身を称賛したのを聞いて、このことを学びました。外部団体からそう認められたことで、ロータリーが世界に与えることのできる最大の贈り物は、その会員であるという私の理解が深まりました。

本日は、会員増強と活性化に向けたロードマップについてお話ししたいと思います。このロードマップは、革新、継続性、パートナーシップという、不可欠な三つの柱に基づいています。これらの原則は単なる戦略ではありません。ロータリーを活性化し、新たな声や考え方を取り入れ、世界中の地域社会への奉仕を強化するための行動の呼びかけです。

世界は、劇的なペースで変化しています。テクノロジー、社会の期待、経済状況は常に変化しており、ロータリーもそれに合わせて進化しなければなりません。トマージ・ディ・ランペドゥーサが『山猫』で書いたように、「すべてを同じままに保つには、すべてを変えなければならない」のです。

革新こそが、変化するこの世界に私たちが適応する手段なのです。若い会員を迎え入れるだけでなく、目的やつながりを求める年配の方々にも参加していただく必要があります。

68歳の私は、仲間たちのコミュニティを見つけることがどれほど充実したものであるかを、身をもって知っています。

私の所属クラブであるサント・アンドレ・ロータリークラブは、150人の会員を擁する活気と伝統のあるクラブです。妻のデニースは、衛星クラブの結成に助力し、50人近い素晴らしい女性たちが自分らしくリーダーシップを発揮できる場を創り出しました。

衛星クラブ、分野特化型クラブ、法人クラブ、パスポートクラブなどは、多様な人びとを惹きつけるために必要な柔軟性の例です。これらのモデルがどこでも通用するわけではありませんが、従来の枠組みにとらわれずに未来のロータリアンに働きかける機会をもたらします。将来のロータリー会員は必ずどこかにいます。私たちは、そこに赴いて彼らを見つける必要があります。

この18カ月間で地球を6周以上した旅の中で、最も健全な地区には、一貫し、団結したリーダーシップという重要な特徴があることに気づきました。ガバナーが前任者の努力を基盤とし、プログラムや戦略が毎年途切れることなく継続されるようにすることで、地区は発展します。一方、トップにおける不和は、時限爆弾のようなものであり、これが会員数の減少という結果を引き起こすことがよくあります。

この旅から得た感動的な瞬間をいくつかご紹介しましょう。ナイジェリアの第9141地区では、サービスの行き届いていない地域に井戸を建設したり、学校に椅子を寄贈したりすることの素晴らしいインパクトを目の当たりにしました。パキスタンでは、2022年の壊滅的な洪水の被災者が、ただ生き延びるだけの生活からより良い未来へと移行できるよう、ロータリーが支援しているスマートビレッジを訪れました。

インドのムンバイでは、ロータリーの補助金で先天性心臓病の治療を受けている子どもたちに会いました。また、別の地域では、緩和ケア病院の外に、がん検診、歯科治療、眼科検診を支援するロータリー財団のロゴが入った救急車が並んでいるのを目にしました。

インドネシアのランプンで、デニースと私は、700世帯の経済が小規模ながら変化し、米を生産する農家の収入が増えるのを目にする機会に恵まれました。

継続性とは、画一性ではなく、連携です。地区リーダー同士が連携し、自分の“ガバナー年度”を越えてロータリーを思い描けば、長期的な成功の土台が築かれます。ロータリーはすでに、毎年リーダーが交代するという独特な課題に直面しています。これ以上、私たちの努力を分散させて、状況をさらに難しくしてはなりません。むしろ、未来のリーダーがさらに発展させていけるような協力の遺産を築いていきましょう。

ロータリーがポリオ根絶活動で培ってきた歴史は、私たちに貴重な教訓を与えてくれます。 単独でも大きな成果を上げることができますが、力を合わせれば、世界を変えることができるのです。ゲイツ財団、WHO、UNICEFといった団体とのパートナーシップは、 230億ドルを投じて40年以上取り組んできたポリオ根絶活動において極めて重要な役割を果たしました。ロータリーが単独でこれほどまでに大きな進展を遂げることはできなかったでしょう。

それならば、会員増強にもこの教訓を活かすべきではないでしょうか。ビジネス団体、専門職団体、教育機関などと協力することで、ロータリーは職業や考え方の多様性を取り入れなが ら、質の高い会員を引き付けることができます。このようなパートナーシップは、「量か質か」という誤った二者択一を排除します。奉仕と参画というロータリーの価値観を共有する職業人に働きかけることで、世界でよいことをするロータリーの力を拡大できます。

最終的には、私たちのすべての成果、プロジェクト、パートナーシップは会員にかかっています。会員増強とは単に数字を増やすことではなく、集合体としての私たちの力をさらに高め、ロータリーの使命を継承していくことです。

まず、誰も永遠には生きられないと認識しなければなりません。クラブの高齢化に対する唯一の策は、絶えず新会員を迎え入れることです。

第二に、会員数が増えれば奉仕の力も広がります。会員が増えるということは、奉仕に参加する人が増え、地域社会にさらに多くのリソースを投入できることを意味します。

第三に、後継者育成計画が重要です。クラブは成長するか、衰退するかのいずれかであり、安定した会員基盤というものはありません。

私たちは、会員の勧誘と維持を、ロータリー会員の世代から世代へと受け継がれる中核的価値観としなければなりません。そうすることで、ロータリーが今後数十年にわたって活気とインパクトを維持できるのです。

ロータリー会員は行動人です。私たちは変化が起こるのを待つのではなく、自ら変化を起こします。

行動人とは、何をするのでしょうか。私たちは、よいことのために手を取りあいます。

これが、2025-26年度の会長メッセージです:「よいことのために手を取りあおう」

分断されがちな世界において、ロータリーは団結と希望の光となります。私たちのプロジェクトは、人種、ジェンダー、性別、思想、経済的背景の異なる人びとを結びつけ、世界でよいことをするという共通の目的で私たちを一つにします。ロータリーは、より良い人間となり、人びとに奉仕し、末長いインパクトをもたらすよう、私たちを鼓舞します。

本日この会場を後にする際には、地区でロータリーを成長させるための最善の戦略を学ぶことに焦点を当ててください。ロータリーは、この協議会に多大な時間と資金を投じてきましたが、それはスピーチや派手な演出のためではなく、皆さんが効果的にリーダーシップを発揮するための手段を身につけていただくためです。この投資から得られる見返りは、金銭で測られるものではなく、新会員の入会数、革新的なクラブの創設、奉仕を通じて人々の人生に変化をもたらすことによって測られるでしょう。

そして、この使命を遂行するにあたり、ロータリーの最大の喜びの一つ、すなわち、世界中に友人をつくり、楽しむことを忘れないでください。

成長、奉仕、つながりの旅路を共に歩んでいきましょう。よいことのために手を取りあえるロータリーを築き、すべての人にとってより明るい未来を実現させましょう。

ご清聴ありがとうございました。

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